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 エリザベート 1878
コサージュ

コリン・モーガン出演の最新映画、『エリザベート 1878(原題Ccorsage)』を観ました。

ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベートが40歳を迎えた1年の心の機微を、監督・脚本のマリー・クロイツァーが独自の感性で描いた作品。

マリー・クロイツァーの描くエリザベートは、「自由奔放」というより「我儘」という言葉のほうが当てはまる感じ。
その我儘っぷりは共感できたりできなかったりしますが、その背景にある「老い」という重たいテーマ、そして、彼女の我儘は自分の老いを持て余すが故の言動であることはとても理解できます。

エリザベートが「老い」ることに並々ならぬ不安と恐怖を感じている大きな理由が、エリザベートの夫であるオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフで、ヨーゼフは彼女の気持ちを全く理解せず、自分の考えを一方的に押し付けるだけの典型的なモラハラ夫+女は若いに限るという典型的なオヤジキャラ。

一方、コリン演じるベイ・ミドルトンは、エリザベートの揺れ動く乙女心を絶妙に察知してくれる、これ以上ない優しくて大人な男。
思いのほか早い段階でコリンが登場して焦りましたが、それはさておき、この役柄、まさにコリンにピッタリ!
ベイとエリザベートのシーンはほんのわずかですが(7分弱?)、映画『ベルファスト』同様、作品の中で強いインパクトを残しています。

ハマり役といえば、主演のヴィッキー・クリープスしかり。
エリザベートの複雑な心模様を見事に演じ切り、マリー・クロイツァー監督の世界観を完璧に表現しているだけでなく、乗馬やフェンシングといったスポーツも身に着け、この役のためにかなりの準備をされたのではないでしょうか。

物語の中心はあくまでもエリザベートですが、個人的に気になったのは、後にエリザベートの影武者となる女官マリー。
マリーはなぜ、エリザベートにそこまで尽くせるのか?
彼女の心の内が気になります。

この作品は、とにかくマリー・クロイツァー監督の感性が全てで、彼女の感性がほとばしっているので、それについていけるかどうかで感想が大きく分かれそうです。
ついていけない人は、ひどくつまらない映画と感じ、ついていける人は絶賛する、そんな作品です。
私は、そこそこついていける派でした。
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comment

grandma さん

「toad」、全然気が付いてませんでした・・
PJハーヴィーがコリンとコラボした曲にも出てくるとは!
コリンとガマガエルの不思議な縁(笑)
しかし「toad」がガマガエルという意味も知らなかった私は、ネットで調べたらイボイボのカエルちゃんがいっぱい出てきてゲ~~~ってなりました・・

そうそう、このGo…Go… とサビで歌っている曲って、PJハーヴィーっぽい感じがしません?
私の中では同じ系統にカテゴライズされていて、この映画全体の雰囲気もPJハーヴィーっぽいというか。
この監督はああいうタイプなんだな~、って思いました。
ああいうタイプって、どういうタイプ?と言われても、うまく言葉にできないんですが~~
なので、コリンはこの監督のテイストは好みなんじゃないかと思うんですよね~

枝龍さん みなさん


まったくの余談ですが

映画開始ほぼすぐあたりで流れる'She Was' の歌詞に
(Go…Go… というもの悲しいメロディ)
「toad」って出てきたの気づきました?
トレイラーでもシシィが階段を上るシーンで聞くことができます。

この「toad」ってPJハーヴィーがコリンとコラボした曲にも出てて
(歌詞の表記では「twoad」で-toad-ガマガエルと注釈あり)
その時私は「Merlin」のエピでWitchfinderのチャールズ・ダンスが
マーリンの魔法で口からガマガエルを吐き出すシーンを思い出して
つい、笑ってしまったのですが
またこの映画で「taod」が出てきてなんともおかしな気分になりました。
コリンが「toad」に縁があるというよりは
ヨーロッパ方面では一般になじみ深い動物?なのでしょうか…
それとも何かを象徴している???

grandma さん

コメント送信できたようでよかったです~
何なんでしょうかね?私も理由が全く分かりません…

>>性が全テーマとは言いませんが比重は大きかった

おっしゃるとおり。
年を取っても「女性」として現役でいたい、みたいな気持ちは一切ない私ですが、エリザベートみたいにそこにこだわる女性は少なからずいますよね。
コメディタッチだったらgrandmaさんももうちょっととっつきやすかったかな?
そういう問題ではないか(笑)

えむ さん

>>テーマは性ではないかと

確かに、作品の中で大きく取り上げられていたテーマだったかと思います。
エリザベートは自分の美貌には相当な自負があったと思うんですよね。
でも、40歳になり老いてしまったことで、自慢の美貌が失われる恐怖と、何より「女性」としての性的魅力が失われるのが怖かったんだと思います。
その悪あがきの数々が我儘な行動になっていたのかな。

>>伴侶がまだまだ性的活動期でも自分の身体や生命を守るために別の(しかも競合者にならない階級の)女性に代わってもらうのはあり

なるほど~
私は、エリザベートは夫から離れて自由になる代わりに、若い女子が大好きな夫に置き土産として夫好みの女子を贈ったと解釈してました(笑)

しましま さん

マリーという女官は実在の人物なのか?架空の人物なのか?
歴史に疎いから分かりませんが、いずれにしても興味深いキャラでした。
私は後半はエリザベートよりもマリーのほうが気になってました。

>>女王に逆らうなんて、絶対君主の皇帝に逆らうのと同じで貴族の辞書にはない概念

確かにマリーはとても真面目でしたし、マリーの辞書にはなかったのかも?!

枝龍さん


やっと受けつけてもらえました~
良かった、良かった!

みなさん書き込めてるのに私のPC何が悪いんでしょうね~
再起動してみたり、キャッシュを削除してみたりしたのですが……
PCに詳しくないのでやることがテキトー(笑)

枝龍さん えむさん


えむさん

よくぞ言って下さいました。
私が感じていた居心地の悪さはまさにそれです。
私あまり好きじゃないんです、そういうの。
性が全テーマとは言いませんが比重は大きかったと感じました。

枝龍さん みなさん

追加、というかこっちが本音。

身も蓋もないですがテーマは性ではないかと。
その気はまだまだあるにも関わらず避妊方法が確実なものは何もない。一線を越えられない状況で、もやもやもや。

皇帝との一夜は彼女にとっては万一のリスクも許容できる唯一の相手であり「締めの一発 記念床」てなものでは?

やたら吸うタバコ。中指。好きでしょうがないベイの余韻のなかでのひとりエッチ。そっちかなと薄々知ってる従兄とのお試し的一夜。女官を手放せない(意味深)。

この邪推が当たってたらこの作品は曲者です。邪推している私も相当アレです、ごめんあそばせ


枝龍さん

40歳。ターニングポイントがテーマでしょうか。

私の40歳は遥か昔ですが笑
40歳が意味するものは深いです。
昔の医学ではその年齢での出産は高齢で危険過ぎ。一方で避妊ができない時代、伴侶がまだまだ性的活動期でも自分の身体や生命を守るために別の(しかも競合者にならない階級の)女性に代わってもらうのはありでしょう。
庶民の女性を皇帝に斡旋する。リアルでした。

彼女の人生の転換点は終わりゆく王政の時代とも重なって、後半に起こる様々な不幸を暗示するような不安感がありました。

薄ぼんやりした色調も美しいというよりもの悲しいですね。




枝龍さん、みなさん

マリーの存在、面白かったですね。
結婚を認めない、ってとこ「キタ!意地悪女!」とニヤニヤしちゃいました。
なんだかんだ言って、オーストリア皇室ってマリー・アントワネットの実家ですよね?
そこの言わば女王に逆らうなんて、絶対君主の皇帝に逆らうのと同じで貴族の辞書には
ない概念なんじゃないかと思いました。下々は民主主義に目覚めても宮廷ですから〜


hedgehog さん

コメントありがとうございます!

コリンの出番少なかったですよね~
監督のインスタだったかどうだか記憶が定かではないですが、映画本編には入っていないベンとエリザベートのdeleted sceneらしき映像を観たことあります。
貴重なシーンを削るなよーーーっ

>>エリザベートともっと爛れた大人の関係になって最後までいろいろ引きずって

いいっすね~いいっすね~~
めっちゃ観たいっすね~~~

>>自分では絶対イヤだと思っていることをしゃあしゃあと他人に押し付けるエリザベートってどうよ

マリーはエリザベートに似せるために過酷なダイエットさせられたりタトゥー入れさせられたり、すごい要求にも素直に従ってましたよね。
エリザベートを教祖様のように慕ってたのか?
そうじゃないとそこまでできないですよね。

私も観ました

枝龍さん

馬に乗ったコリン・モーガンをスクリーンで拝めただけで早くも映画代の元を取れた気分でしたが、でもやっぱりコリンの出番少なすぎでしょ、エリザベートともっと爛れた大人の関係になって最後までいろいろ引きずってくれてもよかったのよ、と未練がましいことも思いました。

>マリーはなぜ、エリザベートにそこまで尽くせるのか?

あのラストシーンを見て、私も同じことを思いました。同時に、自分では絶対イヤだと思っていることをしゃあしゃあと他人に押し付けるエリザベートってどうよ、とも(苦笑)。好き嫌いは分かれると思いますが、どちらに転ぶにしろネタバレを気にせず誰かと話をしたくなる映画なのはまちがいないですね。

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