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 生きる Living


黒澤明監督の映画『生きる』を、カズオ・イシグロ脚本、ビル・ナイ主演でリメイクした『生きる Living』を観ました。

第二次世界大戦後のイギリスを舞台に、地味に生きてきたしがない公務員の主人公ウィリアムズが癌で余命半年と医者から宣告されたことで、変わっていくウィリアムズの人生感と残りの人生について描いた作品。

カズオ・イシグロいわく、この役は初めからビル・ナイを想定して書いたそうで、ビル・ナイはウィリアムズが僅かに残された人生を悔いなく生きるべく変わっていく様を、淡々と、でも、時に熱く、時にユーモラスに、絶妙なテンションで演じています。

中でも、元部下の若い女子マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)に心惹かれ、とはいえ、決してそっち(恋愛)ではなく、彼女のバイタリティ溢れる生きざまに感化され、彼女と交流を持ちたくて映画に誘ったり、職場までわざわざ会いに行ったりするくだりは、ビル・ナイだからこそ微笑ましく見られるわけで、ビル・ナイでなければ、たとえ恋愛感情がなくても微妙にストーカーが入ったキモいオヤジでしかありません。

カズオ・イシグロの期待に応えまくりのビル・ナイの演技がとにかく素晴らしいこの作品、主人公ウィリアムズの人生を必要以上に美化せず、押しつけがましくない演出もニクイです。
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comment

grandma さん

grandmaさんも観られましたか~
私も黒澤作品は「生きる」はもとより、いまだにちゃんと観たことないんです…汗

>>スッとした静かなたたずまいと時折遠慮がちに微笑むウィリアムズ氏がビル・ナイご本人かと思ってしまいそう

ですよね~
自分が想像する素のビル・ナイのイメージそのもので。
カズオ・イシグロのインタビューで、この役が笠智衆だったら…と想像していたら、そうだ、イギリスには笠智衆(ビル・ナイ)がいるではないか、といったコメントをされていました。

私もオリジナルを観てみようかと思ったんですが、オリジナルを観た人の感想で「説教臭い」といったコメントがあり、興味が薄れてしまって…
オリジナルにも「ストーカーのキモいオヤジ」シーンがあるんですね(笑)。

>>カズオ・イシグロ氏の納得できる言葉選びとそれに応えたビル・ナイの演技の賜物

脚本と俳優が良い作品にハズレはないですね!

枝龍さん

ご無沙汰してました。
ROM星人になっておりました。

私も長いこと気になっていたのですが、ようやく先日観てきました。
迷っていたのは黒沢作品をまともに観たことがない私がこれを観ても
良さを理解できるかとても心配だったからです。

でも、結果、観て良かった~!と思いました。
そもそもビル・ナイが好きなので点数が甘めかもしれません。

>主人公ウィリアムズの人生を必要以上に美化せず、押しつけがましくない演出も

そうでしたね~!

>初めからビル・ナイを想定して書いた

とても納得しました。
スッとした静かなたたずまいと時折遠慮がちに微笑むウィリアムズ氏が
ビル・ナイご本人かと思ってしまいそうでした。
いろんな人物に化ける彼ですが、これは中でも適役だったと思います。

実はこれを観た直後PrimeVideoでレンタルしてオリジナルを観ました。
正直 こちらを先に観ていたらリメイクには食指が動かなかったと思います。
なんか表現がくどいと言いますか…
私には合いませんでしたね…

>ストーカーが入ったキモいオヤジ

オリジナル版の2人がレストラン(?)で話しているシーンでの主人公渡辺氏は
まさしくストーカーのキモいオヤジにしか見えませんでした。
あくまでも私個人の印象です。

とにかくリメイク版の私に取っての印象の良さは
カズオ・イシグロ氏の納得できる言葉選びと
それに応えたビル・ナイの演技の賜物と感じました。

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