2023/08/26 17:39

コリン・モーガン出演の最新映画、『エリザベート 1878(原題Ccorsage)』を観ました。
ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベートが40歳を迎えた1年の心の機微を、監督・脚本のマリー・クロイツァーが独自の感性で描いた作品。
マリー・クロイツァーの描くエリザベートは、「自由奔放」というより「我儘」という言葉のほうが当てはまる感じ。
その我儘っぷりは共感できたりできなかったりしますが、その背景にある「老い」という重たいテーマ、そして、彼女の我儘は自分の老いを持て余すが故の言動であることはとても理解できます。
エリザベートが「老い」ることに並々ならぬ不安と恐怖を感じている大きな理由が、エリザベートの夫であるオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフで、ヨーゼフは彼女の気持ちを全く理解せず、自分の考えを一方的に押し付けるだけの典型的なモラハラ夫+女は若いに限るという典型的なオヤジキャラ。
一方、コリン演じるベイ・ミドルトンは、エリザベートの揺れ動く乙女心を絶妙に察知してくれる、これ以上ない優しくて大人な男。
思いのほか早い段階でコリンが登場して焦りましたが、それはさておき、この役柄、まさにコリンにピッタリ!
ベイとエリザベートのシーンはほんのわずかですが(7分弱?)、映画『ベルファスト』同様、作品の中で強いインパクトを残しています。
ハマり役といえば、主演のヴィッキー・クリープスしかり。
エリザベートの複雑な心模様を見事に演じ切り、マリー・クロイツァー監督の世界観を完璧に表現しているだけでなく、乗馬やフェンシングといったスポーツも身に着け、この役のためにかなりの準備をされたのではないでしょうか。
物語の中心はあくまでもエリザベートですが、個人的に気になったのは、後にエリザベートの影武者となる女官マリー。
マリーはなぜ、エリザベートにそこまで尽くせるのか?
彼女の心の内が気になります。
この作品は、とにかくマリー・クロイツァー監督の感性が全てで、彼女の感性がほとばしっているので、それについていけるかどうかで感想が大きく分かれそうです。
ついていけない人は、ひどくつまらない映画と感じ、ついていける人は絶賛する、そんな作品です。
私は、そこそこついていける派でした。