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  2023年5月 RadioTimes コリン・モーガン インタビュー翻訳 ②
次は、『Dead Shot』より前に出演した、同じく北アイルランドが舞台の映画『ベルファスト』の話題と北アイルランド問題、『Dead Shot』で火花を散らすマイケルとテンペスト(アムル・アミーン)の関係性などについて語ります。



近年、その紛争を背景にしたプロジェクトにモーガンが関わるのは『Dead Shot』が初めてではない。
2021年、彼はケネス・ブラナー監督のオスカー受賞作『ベルファスト』で重要な役を演じ、こうした物語に観客が引き込まれるのを見て、大きなやりがいを感じた。

「特に『ベルファスト』では、自分の一部であるものが世界に届き、普遍的な方法で人々の心に響くのを見て、それは素晴らしいことだと思いました。」彼は言う。
「物語を見たり、アクセントを聞くと、そこに自分と繋がる何かがある。そして、世界中の人々も同じなんだと知ると、自分のアイデンティティが認められているという誇りを感じずにはいられません。」

北アイルランドで育つ中で蓄えてきた彼の紛争に関する知識に加え、モーガンは『ベルファスト』の役を演じる準備のために多くのリサーチをした。
これは新作でも再び役に立ったと彼は言うが、『Dead Shot』自体は、必ずしも「北アイルランドの時代について人々を啓蒙しようとすることに関心があるわけではない」と強調する。

「北アイルランド問題を扱う作品は全て、その詳細にまで踏み込まなければならないわけではありません。」彼は言う。
「それがこの作品の新鮮なところだと思います。でも、俳優として、それらに精通していることは重要で、どんな時代であれ、それはいつもやる価値のあることで、僕はいつもやっています。」

この作品で最も興味深い事柄の一つは、マイケルの敵であるアムル・アミーン演じるテンペストの複雑さだ。
決してストレートに同情的に描かれているわけではないが、キャラクターは純然たる悪役ではなく、むしろ憎たらしい上司によってひどい状況に追い込まれた弱者として描かれている。
同時に、テンペストは人種差別が日常的だった時代に生きる黒人という事実が、この複雑さに間違いなく拍車をかけている。

「僕が最初から監督に言っていたのは、この二人には分断より結びつきのほうが多いということです。」モーガンはマイケルとテンペストの関係性について語る。
「二人ともロンドンにいて、そこは当時“No dogs, no Blacks, no Irish”と掲げてあった場所です。」

「彼らはよそ者として扱われる、完全なアウトサイダーだということなんです。その時代は、アイルランド人がロンドンに行くと、完全に避けられました。彼らは避けられ、拒絶され、よそ者として扱われることを知っている人たちなんです。そして、彼らが互いにこの悲劇に巻き込まれるという事実は、ある意味残念なことです。」

「この時代の北アイルランドでの悲しいことは、宗教と国籍の大きな対立が統合を妨げていたことです。」彼は加える。
「残念ながら、今も北アイルランドには確実に存在しています。少なくはなっていますが、でも、完全に無くすのは難しいと思います。」

「レッテルやアイデンティティや国籍といったもので人との繋がりが妨げられるのは悲しいことです。あなたの親友は、軍隊にいた人だったかもしれないのです。」

続く…

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