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 Fabric Magazine - 2023年2月 - ジャック・ローワン インタビュー翻訳 ④
最後は、元々アマチュアボクサーだったジャックくんが俳優を志すようになった経緯、オーディションのこと、将来の夢について語ります。
ジャックくんは舞台にも挑戦したいと語っているのが嬉しいです。



怪我と言えば、元々、彼が演技の道を志すきっかけとなったのは怪我だった。
「演技は、幼い頃から本当にやりたいことではなく、なんというか、学校での好きな科目という位置づけで、演劇をいつも楽しんでいました。でも、当時はボクシングをやっていて、アマチュアボクサーで、僕はそっちの方向へ行くと思っていました。」彼は説明する。
「僕はカムデンにある小さな演劇クラスに土曜日に通っていました。でも、ボクシングもあって、ボクシングは月・水・金でした。学生時代という成長期に、ボクシングは逃げ場を与えてくれて、実際に何か困った事態になったとき、別の焦点を与えてくれました。そしたらある日、パンチバッグをパンチしていたときに背中を怪我して、そんな劇的なことではなく、大したことない些細な怪我と思っていたら、もっと深刻な、ボクシングを止めざるを得ないほどの怪我だと分かり、突然、トレーニングの日々から何もない日々になってしまって。情熱がなくなりました。」

月日が経つにつれ、彼は新たに何か打ち込めることを見つけなければならないと理解した。
「僕は演技を楽しんでいたことに気づき、もっとそれに力を入れるようになりました。突然、土曜のために生きるようになったんです、かつてボクシングのために生きていたように。」彼は話す。
「学校の宿題よりも土曜の宿題のほうをよくやっていました。そして、最初の仕事で状況は一変しました。自分はどれほど俳優になりたかったのかということを実感したんです。最初の仕事の後、1回だけ試合があって、それに負けて、何というか、もういいだろうと。ボクシングは僕が必要としたらそこにあったけど、もう必要ないと分かったんです。」

『Peaky Blinders』でボクサーのボニー・ゴールド役をオファーされた時、二つの世界は一時的に交差した。
BBCのヒット番組のシリーズ4から5にかけて5エピソードに出演し、彼はリングでのスキルを披露する機会を得た。
ただし、それ以来、彼はボクシングをしていない。
「正直に言うと、軟弱になったんです。ボクシングは恐ろしくて。」彼は笑う。

とはいえ、彼はボクシングが教えてくれたことに感謝している、特に鍛錬と準備の重要性について。
「アマチュアボクサーの時は、全然試合がないかと思えば、突然、2ヶ月で3試合とかあったりするんです。」彼は振り返る。
「なので、何があっても常に準備しておくことを植え付けられました。ランニングをして、よく食べて、体重をキープする、なぜなら、突然、コーチから土曜日に試合があると言われるかもしれないので。トレーニングが足りてなかったり、体重が適正でなかったりすると対応できません。ボクシングは常に努力することを教えてくれました。リングをオーディション・ルームに見立てた場合も、やることは同じです。脚本は読んだ、セリフは覚えた、自分は何をするか考えた、そうすると、皆の前に立つときは、すでに準備してきているから迷うことはありません。」

オーディションは、いつも厳しいものだろう。
「夢は、そういうことをしなくてもオファーが十分にある立場になることです。」ジャックは説明する。
「これまでの役は、全て自分で取りに行く必要がありました。何かを手に入れなければならないとき、それを誰かが簡単に奪ってしまうかもしれない。他の誰かとは違う形で自分がその役にふさわしいと証明できるかどうかは、自分次第です。なので、自分が十分に知られていて、監督から十分に信頼されていて、『この役にはこの人だ』と言ってくれるような立場になりたいです。そしたら、落ち着いて脚本が読めるし、自分のやりたいことができてハッピーでいられます。」

夢のシナリオはそうだが、夢の仕事は?
「それは言えません。」彼は肩をすくめ、「でも、どこかで待っていることを望みます。僕は、10代のサイコパスを演じるまでは、そんな役を演じたいと思っていませんでした。」彼は笑う。
彼は舞台にも挑戦したいと思っている。
「僕は舞台が好きです。昨日は、『A Town Called Malice』で僕の母親役のマーサが出ている舞台を観に行きました。マーサ・プリンプトンはソーホー・プレイスで『As You Like It』に出演してたんです。」彼は明かす。
「僕の演技のルーツは、アマチュア・ドラマ・シアターですが、仕事が来るのはテレビや映画です。舞台への情熱は常にあります、近いうちにその道が開けるといいんですが。やるとしたら、小さいハコがいいですね。僕は大きな劇場には興味がなくて、没入感のある小さい作品がいいです。いつか実現できたらと思います。」
その時はぜひ観てみたい。

-終わり-

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