2021/05/29 16:10
ドラマーが主人公ということで、気になっていた作品『サウンド・オブ・メタル』を観ました。
ルーベン(リズ・アーメッド)は、恋人でギターボーカルのルー(オリヴィア・クック)とユニットを組み、トレーラー生活をしながら各地のライブハウスを回ってはラウドでノイジーなヘヴィメタルを演奏し、成功を夢見るメタルドラマー。
そんなある日、ルーベンは突然耳が聞こえづらくなる症状に襲われ、検査の結果、重度の難聴であることが判明。
医者から、一度失った聴力はもう元には戻らないと言われ、自暴自棄になるルーベン。
ルーベンは過去に薬物依存も抱え、どうにも手に負えなくなった恋人ルーは、彼を聴覚障害者の自助グループへ連れて行くのだが…。
あらすじをまとめるだけでもヒリヒリする、重い作品なのですが、今まで当たり前に聞こえていた音が突如聞こえなくなる、その恐怖と、二度と以前の状態には戻らない自分の聴覚をどう受け入れ、そして、これからの人生をどう生きていくのか、ルーベンが自分自身と格闘する姿が、演じるリズ・アーメットの熱演もあり、真に迫りくる、見ごたえのある作品です。
聴覚障害になったらどんな風に周りの音が聞こえるのか疑似体験できるようなサウンド面の演出も素晴らしく、実は、私自身も数年前から、ちょうど今の時期(4月、5月あたり)になると、低音が聞こえづらくなるという症状が出ることがあり、そのときに感じる聞こえ方の違和感がこの作品のサウンドでリアルに表現されていて、とはいえ、私の症状はルーベンに比べたら全然軽いですが、サウンド面でもそうとうこだわっていることを身をもって感じます。
ドラマーが主人公の映画といえば、『セッション』も印象深いですが、どちらにも共通しているのは、主人公にとても苦しい試練が訪れるところ。
ドラマーには苦悩が似合うイメージでもあるのか?
それはさておき、アマチュア・ドラマーの(しかも、今は活動してない)私の"上から目線"では、リズ・アーメッドのドラムシーンは、何年もドラムを演り続けている風情を感じさせる、とても自然なアクションでした。
ドラム演奏しかり、全てにおいてリアルな演技力は注目です。
とても重たいので、繰り返し観るのはちょっと無理ですが、色々と考えさせられる内容の濃い作品で、おススメです。